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執筆者の写真長谷川 士(つかさ)

インターネット出現による人材評価の変化




 インターネットが世に出てきてから企業人として働く個々の仕事能力のあり方というのは大きく変わりました。

インターネットがない時代は調べものをするのには分厚い辞書や広辞苑などが必要でした。しかしながら今では、特定な思想や考え方にとらわれない選球眼をきちんと身に着ければ、ネット検索することで細かい内容もかなり精緻に簡単に調べることができます。


 これらを実務に置き換えていくとかなり仕事能力が高められる、仕事の効率が上がることがお判りいただけることでしょう。例えば新興の保険会社が「新しい保険商材『大きな樹』を商品化して新規販売したい」と考えた場合をインターネットの無い時代とある時代を想定して比較してみましょう。

 インターネットの無い時代ならば、マーケティング部に『大きな樹』のTVCMや他の広告媒体に出稿手続きを社内経由で決済を取りお願いし、フリーダイヤル番号を調達して、その番号にかけてくる消費者からの電話を受けるコールセンターを作って、人を手配し、保険セールスのために必要なパンフレットや申込書を作成し、セールスに対する教育制度を新たに設けて販売していきます。

これらを実現するには新規事業開発部の責任者含め数名と、マーケティング部数名、

電話関係担当の総務部数名、営業担当のコールセンター部の数名、印刷物関係の総務部担当

数名、社内教育の人事部担当数名と、社内の要人含めた20人から会社規模にもよりますが

50人規模の体制で始めるというのが一般的でした。


 インターネットのある現在で同じことをしようとすると、かぶるところは当然ありますが

手間と予算は大幅に削減できます。

インターネットに詳しいシステム構築経験があるIT人材がいれば、その人一人で同プロジェクトの導入から運用、保守まですべて一人で担当し、動かすことができます。

しかもインターネットが始まる前の50人体制よりもかなり正確で精緻でかつ費用は10分の1

以下に抑えることができます。

 まずはこの『大きな樹』という商材が世間にどのように認識されているか、著作権の問題はないか、これらをまともに調べるだけでもインターネットの無い時代ならばマーケティング担当の5人くらいが総出で1ケ月くらいかかるのではないでしょうか。

それで出てきた結論の整合性などの保証はあまり期待できません。

インターネットのある現在、ほとんどの検索サイトが『google』検索を引用しておりますので。、『Google』と『Yahoo』で『大きな樹』の検索をすれば一発です。

作業時間1時間、報告書作成しても1人日程度(一人が一日働くこと)あれば十分です。

会社から見てかかる金額は前者が年収600万(50万/月)の5人で250万

後者は年収1200万(100万/月)×1人日の5万

マーケティング部門だけでも50分の1に削減されます。


 同様にマーケティング広告に関してもテレビCMは本来必要ないと認識できますが、そうもいかないのでお付き合い程度に適当に金額を決めてもらって、残りはYoutube、ネット広告を中心にマーケティングをしっかり行って実績のある媒体に効率よく行う、これらマーケティング費用にトータルで差は出ないかもしれませんが広告効果に大きな差が出ますので、会社全体からみれば広告の最適化に貢献できます。


 インターネットのあるなしにかかわらず保険などはフリーダイヤルによる電話は必須アイテムですのでその環境整備も必要ですが、インターネットのない時代とある時代とではその環境設備の構築も大きく異なります。

要は掛かってきた電話に対して「どの広告媒体を観たのか」、「申込希望か話を聞きたいのか」「どのサービス(火災保険、地震保険、傷害保険)を希望されるのか」などコールフローをして適切な交換手への取次ぐ仕組みが必要となります。

 インターネットがない時代にコールセンターを作る場合は電話を受ける機器(PBX)によるコールフローをPBX側で構築し、その設定を行う必要がありました。

このコールセンター専用の機器は特定のメーカ(AVAYA)に導入実績も偏っており、その機器の導入に数千万から1億以上かかっていました。またそれを維持するために専門のPBXベンダ技術者を配備するためその人件費だけで年間2000万とかかかっていました。

要はコールセンタ側で設備を準備するにはそれ相応の対価が必要でした。

それが今やクラウドサービス隆盛期、AVAYAのサービスをネットで探すのに困難になるくらい状況が変わりました。

コールフローの対応はすべてクラウド側というかフリーダイヤルを提供しているNTTコミュニケーションズやKDDIなどが1コールフロー2000円とか3000円とかで請け負っていますし、フリーダイヤル取次後、顧客情報とのリンクさせるサービスもクラウドサービスでかつて自社で構築するPBXの年間運用費の10分の1くらいで請け負っています。

インターネットがない時代は年間5000万かかっていたものが500万で出来るようになった感じです。

また撤退するときのことを考えれば、クラウドはサービスですのですぐに撤退可能ですが

コールセンター専用の機器(PBX)を導入した場合その費用はそのまま損失となりますので

会社から見た貸借対照表はそれ以上に費用削減されたように感じられることでしょう。


その他人事研修や印刷物なども過去の長い付き合いのある業者に頼むよりも、リモート研修やプリントパックなどのネットサービスに変えることで十分な削減効果に繋がります。


これらを総合して効果を比較すると単純ではありますがインターネットない時代、

コールセンターを立ち上げるために30人が1年かけて自前で準備する場合、初年度で

30人×600万+マーケティング250万+広告費1億+PBXによるCTI費用5000万

+コールセンター人件費年間1億+研修や印刷物2000万

合わせて規模にもよりますがだいたい4億以上かかっていました。それが今では

年間一人のIT人材1200万円+広告費2000万+クラウドCTI費800万

+コールセンター人件費5000万+研修や印刷物1000万

ざっと見積もっても1億くらいで同様以上のことができます。

優秀なIT人材がいると初年度だけでもこれだけの削減効果が見込めます。


 当然、その後の新規事業開発部の責任者含め数名がこの『大きな樹』プロジェクトに関わり続けるとすると、継続して部長+3名ほどの社員の人件費がかかります。

加えてコールセンター専用のPBXシステムベンダ人件費、マーケティング担当の人件費、

プロジェクトのマネジメントだけで1億近いコストがかかることになります。

ここにインターネットに詳しいシステム構築経験があるIT人材が『大きな樹』プロジェクトのマネジメントを行えば、Analytics(Webサイトアクセス状況)解析なども行いますので

いわゆるマーケティングの仕事もこのIT人材1人ですべてまかなえます。

つまり年間1200万でこの『大きな樹』プロジェクトを遂行することが出来ます。


 また、優秀なIT人材はコールセンターの維持管理だけを担当するわけではありません。

商材の決済の仕組みを申込書ーFAX申込からネット決済に切り替えたり、サインもネット経由で行うなどクラウドサービスを利用することで会社全体のコスト削減も行うことが可能になります。

 このようにコールセンターの立ち上げ一つとっても、これまで通用していた仕事のやり方と現代のやり方では全く違う方向性になっています。

過去にコールセンターを立ち上げた実績のある人が社内にいて、その人にすべて過去の実績と同様のインターネットの無い時代のコールセンターを立ち上げた場合、4億かけてコールセンターを立ち上げてこの新商材の損益分岐点を4億以上に引き上げます。

ところが現在のインターネットのある時代にDX人材にこの新商材の立ち上げを任せると

損益分岐点が1億となりこのプロジェクトのハードルが低くなり成功率が高まります。


『でもそんなIT人材わが社にはいないよ』 それはその通りだと思います。そんな人材はなかなかいませんので探すのも大変です。

ですが今いる社内人材で新規事業や新商材立ち上げなど出来るのか経営層の皆様にはぜひ

お考えいただきたい。

同業他社はどんどんIT人材を取り入れ、ついていけない社員は希望退職でリストラしてまで会社を生まれ変えさせるべく生き残りで必死です。

そんな時、あなたの会社で新商材を立ち上げる際にインターネットがない時代のやり方を

踏襲するのでしょうか。


 私の予想では当たり前ですが、生き残っていく会社はどんな事業であれ、これらシステム全体の統合、クラウド化を進めていくので、会社規模にかかわらずその為の人材は必ず必要になるし、その流れに乗れない人は今後会社からふるいにかけられるのだと予想します。

よって近未来のその後の会社像としては一人のIT人材とそのサポートをする優秀なスタッフ

が当面どんな業界でも必要になると私は考えます。


 ウェブトレインではまずこのIT人材のサポートに入れる人材教育を初級編の研修で育てていくプログラムをご用意しております。

そこからさらに上に行くために優秀なIT人材に必要なスキルを学べるプログラムも併せてご用意しております。

まずはサポートメンバーとして働けるように初級編の研修をまず受けていただき、サポートメンバーとして業務を経験していただき、その中で優秀なIT人材の働き方を近くで学びながらIT人材の研修を並行して受けていただくのが理想かなと考えております。

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